第4章 この道、桜吹雪につき。注意。
●小金井 慎二● 〜校庭〜
視覚で捕らえた情報は、すぐに危険信号に変換され。
オレの脳内に“警告”が鳴り響いた。
12時の方角からやって来た黒い影は、直感した危機を回避しようと後退りしたオレの頭の上を、スレスレで通過していった。
その時見上げた、雲のない空には。
眩しい太陽の輪郭の代わりに、光源を背にした“何か”の影…
文字通り、黒い影が写っていた。
「うにぁ?!なんだ?!!」
その瞬間、ほのかに風が巻き起こる。
見間違いじゃなかった。
黒い影は、やっぱり空を飛んでいた。
敵機?!
まさかの敵機か?!!
数秒前に、オレが視線を向けた先。
桜の木の間から飛び出してきたそれは、確かに翼を待っていて…
確実にオレをロックオンして飛んできていた。
そのサイズ感…スピード。
そして、機械では絶対に再現できない、その正確なコントロールは。
確実に、“意志を持った空を飛べる動物”だった。
そして、その時のオレの頭には。
よりによって1番最悪なことが横切っていた。
動物は基本なんでも大丈夫な、天真爛漫な小金井慎二様にも、唯一ムリなヤツがいるんだ…
自分を襲ったのが、鳥だと分かったその瞬間。
ヤツの存在が、オレの脳内を埋めていく。
「鳩?!鳩か?!!」
そう言って、既に見えなくなった黒い影に怯えていると…
上がっていた全身の体温が、一気に低下していくことが分かった。
汗をかいてるのは、暑いからなわけないよな…?
オレには嫌いなものが3つある。
そのうちの一つが…“鳩”だ。
鳩だけはマジ勘弁!!
カナブンの方がまだマシ!!
見えない敵からの2度目の攻撃に備えて、オレは手に持っていたビラの山で頭を守った。
そこそこ重いが、仕方ない。
万一にも、突かれたらたまったもんじゃないから。
最高のものをロックオンしようとしたら、最低なやつにロックオンされちゃったよぉ〜…!
もしかして、これオレのせい?!!
自業自得かどうかも分からないまま、その場にしゃがみ込むことで、天敵の視界から外れようとした。
意味があるかどうかは、正直分からない…
見たまんま、余裕なんてものは完全にゼロになった。
その時…
「おいコガ!
お前道のド真ん中で何やってんだよ?」