第4章 この道、桜吹雪につき。注意。
●小金井 慎二● 〜校庭〜
「さーて、どの子に声かけよーかな〜」
伊月の言ったことは忘れないけれど、オレは視界の枠に入ってきた女の子に、片っ端から照準を合わせていく。
あれ、なんて言うんだっけ?
某STGをプレイした時に装備したことがある。
なんちゃら“高度強襲ミサイル”とか言う、超高性能な追尾式ミサイル。
視野の中に捕らえて、かつ許容範囲内にいる敵…じゃなくて女の子をロックオンする。
そんな感じだ。
ミサイルは発射しないけど、何かあったらオレ自身が飛んでいくことになる。
飛んで行きたくなるほどの、“何か”を見つけたのなら。
そんな“何か”が必ず見つかるって、信じているから。
…けど。
16年生きてると不思議なことも体験する。
度肝を抜かれる出来事ほど、予告なしに来るものだということも知ってる。
マネージャー候補を探している最中だろうが、視界を埋める桜の木を綺麗だなと思っている最中だろうが、関係なしに。
「ん?」
追尾式の視界なんて作るから、目につきやすかったのかもしれない。
一度捕らえたら、何があっても確実に追いかけ続ける。
そんな視界を…
この時のオレは、自分に何かが降りかかるなんて思いもせず。
見つけた女の子の元に、すぐさま飛び出す準備が出来ていれば、それでいいと思っていた。
思っただけの作戦は、現実に起きたインパクトに呆気なく妨害されて。
オレは痛感した。
そんな上手いこといくはずないって。
その時、オレに起こったことは。
ただの不運か。
それとも不運の始まりか…
ほんの数秒前まで、意気揚々と勧誘に励み。
年下の女の子の中に光る、“何か”を見つけようとしたオレが、現実に見つけたもの…
視界に捕らえた一つの黒い影が。
明らかに人間の動きとは思えない経路を描きながら。
オレに向かってきたんだ。