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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第4章 この道、桜吹雪につき。注意。


●藤堂 天● 〜校庭〜


木の根元は、やっぱり静かだった。
だから周りの音がよく聞こえる。


数十秒前、鶯が飛んでいった方とは真逆…
私が逃げてきた方から聞こえる勧誘の声が、心なしか大きくなったように思える。
遠のいても尚、はっきりと聞こえてくる勧誘の声を背中に感じながら、その声に埋もれるように息を潜める。


薄い呼吸の狭間で。
ふと、さっき言われたことを思い出していた。


 「マネージャー!やってみないかい?!」


考えもしなかった。
言われるまで。


そりゃ、今までマネージャーに世話になる側の人間だったから、無理もないのかもしれないけれど。
マネージャーになる選択肢が、自分にもあると言うことに気づかなかった。


ずーっと選手だった私が。
マネージャーでも、おかしくない。


『私が…マネージャー』


そんな風に、口に出してはみたんだけど…


『いや、ないない』


上書きするように、そう口をついた。


私に限って、そんなことあるはずがない。


選手にさえなる気もないのに、マネージャーなんて考えられるかよ。
そんなの、私らしくもない。


想像、できねぇーよ。


『…もう大丈夫か?』


再び木の幹に手をつけて、周りを見回した。
その際、さっきの先輩たち6人が、校門付近で新入生を漁っていることが確認できた。


そこにいる新入生たちは、今まで以上にキツい勧誘を受けているんだろう。


それは、もしかしなくても私のせいで…


『…わりぃ』


私の虚言で、代わりに餌食になってくれているであろう同輩に謝罪を述べながら、私は茂みから出ようとした。


と、思ったんだけど…


『あ。』


今までフツーに忘れていた。


ポテチ。
地面に直で放置したまま。


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