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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第4章 この道、桜吹雪につき。注意。


●藤堂 天● 〜校庭〜


前言撤回。


この人。
同級生の後輩に対するキツめの勧誘を見て、「それはやり過ぎだ」と注意しに来てくれたわけではなかった。


これはアレだ。
「俺のターン!ドロー!
 追い詰められた新入生を救い出して
 信用を作った上で逆勧誘!」ってやつだ!


確かにその作戦に見事に嵌りましたよ!
「この人、新入生の気持ちをよく分かってくれてる!」って感動してしまったわ!!


うっわ、見事に騙された…
上げに上げて、地上どころか奈落に突き落とされた気分だ。


クソ…この人も別の意味で確信犯だった…!!


「“なんか”ってなによ?!
 失礼しちゃうわね!…というかあなたも
 しれっと勧誘してるじゃない!」

「なにを言ってる。
 有望な新入生を見つけたら
 勧誘するのは当たり前だろ!」

「いざ言われるとムカつくわね!そのセリフ!」


だーーーいぶ遠回りした結果。
吹部だけでお腹いっぱいで、”仮”という言葉で楽になろうとしていた私を待っていたのは、野球部からの勧誘だった。


…のだけれど、ちょっと待ってくれ。


『あの…すみません。』

「「 ん? 」」


あまり問題ではない、野球部から勧誘されたことは。
吹部を断るより、ずっと簡単だ。
私抜きでヒートアップしている先輩たちには申し訳ないが、これだけは言わせてもらわないと。


つい10秒前まで、尊敬の目で見てた野球部の先輩にやっと声が届いた。
だから、また何か言われる前に、前置きなしで本題に入らせてもらった。
これで諦めてくれるとありがたいのだが…


『私。一応女…なんですけど。』

「あぁ!それはもちろん分かっているさ!」

『あ、分かってたんだ。よかった。』


どちらにせよ。
もう、さっきと同じ目で見ることは出来なくなっていた。


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