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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第4章 この道、桜吹雪につき。注意。


●藤堂 天● 〜校庭〜


手ぇ置かれてるから、知らんふりもできない。
逃げることもできない。


…もしかしたら、ほんとに落涙していたかもしれない。
気づかなかっただけで…


「このままなし崩し的に“新入生の奪い合い”に関係しちまうのか~」
…と、思っていたのに。


「怖がらせてしまっては元も子もないだろ。
 この子は、今日初めて誠凛に来たんだ。
 想像してた華の高校生活の初日は、
 こんなんじゃなかったはずだろ。」


そう言って野球部の先輩は。
私の肩を再び、ポンポンッと優しく叩いた。


予想していたものとは全く違うそのセリフに、驚きを隠せなかった。


また、その言葉と同時に私の肩を叩いたその掌は。
それはまるで、心からの歓迎を受けているような心地よさで…


そうです…
そうですよ、先輩。


桜並木を背負い、見慣れない景色をかき分けて進んだその先に待っていたものは。
勧誘の嵐で目の前が見えない、極限の世界などではなく。


気兼ねなく、歩きながら大容量ポテチを食べれて。
災難もトラブルもない、呼吸がしやすい新世界であってほしかった。


私の気持ちを代弁してくれたその言葉と、斜め下から見えた先輩の顔に。
一時の災害を逃れるために、安直な選択をするところだった私の気持ちは溢れ出そうになった。


この時点で、もう胸はいっぱいなのに…


「先輩としてしてあげられることは、
 本当の意味で
 新入生の不安を拭ってあげることだ。
 いかに部活に入りやすくするかではない。」


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