第4章 この道、桜吹雪につき。注意。
●藤堂 天● 〜校庭〜
イヤホンを持っていた手を背中に隠すことでプレーヤーの存在を消しつつ、どうやってはぐらかすか頭を捻った。
『私が聞く音楽なんて…
吹部の演奏には向かない曲ばっ』
「うちの部活はね?!
K-POPとかアイドル系とか、
最近の曲を演奏できる機会が多いよ?!
別にベートーヴェンとかモーツァルトばっかり
やってるわけじゃないからさ〜」
なるほど!
そこまでお堅くなくて、みんなで楽しく演奏できる部活なんですね!
それはいい!
いいけど上手く丸め込まれてるだけだよね、これ!
団体で演奏するってなると、必ずしも自分の奏でたい曲が出来るとは限らない。
入部した後にそれに気づくのは厄介だ。
『ど…どちらかと言うと。
ロック系のジャカジャカした音が好きとい』
「あとね?!パーカスになると
もれなくギター、ベース、ドラム、
キーボードができるよ?!」
確かにそれだけ聞くと凄ぇー魅力的に聞こえる!
でも惑わされないぞ。
これはただ、「他の部活に比べてできることが多い」って言ってるだけだ!
「パーカスは必然的に一人ひとりの仕事量が多くなる」ということを、良い感じに言い換えてるだけだ!
『でもな〜どうだろう?
部活が忙しいと、普通の学校生活で
やりたいことが出来なくなるかもし』
「軽音部と違って、吹部の楽器を演奏しながら
バンドも組めちゃうの!
すごくいいでしょ?!」
別に、軽音部と吹部のニ択で迷ってるわけではねぇーですから!!
他の部を引き合いに出してアピってくるな!!
まずい。
この先輩の中で私が楽器を演奏することが前提になってる…!
…と、思った時だった。
お尻あたりに、何かがドンッ!とぶつかってきた。
『え。』
その、明らかに人ではない。
ぶつかってきた何かを見るために後ろを振り返った。
そこにあったものを見て唖然とした。
“何か”がぶつかってきたんじゃない。
私がぶつかったんだ。
『ぅあ"あ"ぁーーー?!?!』
振り返ったその先では。
「吹奏楽部 未経験者大歓迎!!」という文字がいくつもこちらを見つめていた。
私がぶつかったものの正体は。
勧誘の旨が書き示されたビラが、何枚も貼ってある。
吹奏楽部のブースだった。