第4章 この道、桜吹雪につき。注意。
●藤堂 天● 〜校庭〜
いま思えば、この状況で見知らぬ上級生が声かけてくるってことは、勧誘以外にないんだった。
驚いたり荒ぶったりでうっかりしてた。
渾身の「私に話しかけても無駄ですよ~」顔が効かなかったか?
まさか…
ポテチ食いながらだったから、顔が緩んで効力が落ちたか?
畜生、大容量…
これだから大容量は。
“ポテチ浮遊&リターン問題”に悩んでるヒマじゃない。
声をかけられた時点でこっちが不利だ。
どうにかして断らなければ。
『ぱ…パーカッション…?
って、打楽器とかそこら辺の楽器を』
「凄い!よく分かったね!」
私を見上げてくるような形で、先輩は私にグイッ!と顔を近づけてきた。
『ち、近…近いっスよ?』
「もしかして経験者?!
中学の時吹部だったの?!」
『いえ…フツーに運動部で』
「えぇ?!じゃあどの部活に入っても
体力面は全然心配ないじゃん!
凄〜い将来有望〜!!」
と…止め止めない!
しかも息をするように褒め言葉が出てきた。
こういうのを都会っ子の余裕っていうのか?!
「しかもキミ身長大きいよね?!
何センチ?!」
『ひゃ…168くら』
「凄~い!女の子にしては大きいよね?!」
勧誘を断るはずだったのに、こちらから話し始める機会すら与えてもらえない。
しかも会話の主導権を握る先輩の話題展開が、勧誘とは関係ない方にいくから余計話を切り出せない!
これが…都会っ子の会話テクニック!!
こんな感じで、瞬く間に一個上の先輩にペースを持っていかれた私は、イヤホンのコードをギュッと握って、両腕で大容量を抱きかかえた。
完全に「自分いま萎縮してますよー」って相手に教えてあげている体勢。
『そ…そうかも知れないですね…』
この時、私は先輩の圧力に負け続け。
最初に話しかけられた位置から、数メートル後退していた。