第10章 チャイムの鳴る前に
●黒子 side● 〜図書室前〜
『会ってもらいたい人?私に??』
そう言って藤堂は、不思議そうに黒子を見つめた。
黒子はすぐに「はい」と答えた。
しかし、それだけでは藤堂の中の疑問は祓われなかったようで、またしても不思議そうに「なんで?」と問い返す。
『てか…それ誰?』
「それは、実際会ってもらってからで…」
『なんだそれ??』
黒子には分かっていた。
藤堂からしてみたら、疑問に思うのも無理はないということを。
入学から数日も経っていない。
まだ同学年…自分のクラスですら、同級生を把握出来ているとは言えない。
全校生徒にまで範囲を広げたらなおのことだ。
それは藤堂に限らず、同じ一年生である黒子にも言えることだ。
互いに周囲との関わりがまだ浅い状態で、「会わせたい人がいる」というのは、少々おかしな要求であることは否めない。
黒子には、それが分かっていた。
しかし幸いにも、藤堂は「良いけどさ、そのくらいなら」と、渋々ではあるが首を縦に振ってくれた。
黒子は安心して、ホッと笑みを溢した。
そして藤堂を引き連れ、先輩の待つ廊下の角まで図書室前を歩き始めた。
途中、黒子は再び、藤堂の抱える冊子の山に手を伸ばした。
「やっぱり手伝わせてください」
『いやいいって!ほんと大丈夫』
しっかり遠慮され、参考書を遠ざけられてしまったが。
ついに、廊下の角に差し掛かった。
ここを曲がれば、リコと伊月が待っている。
…という、その時だった。
その角から、人影が現れたのだ。