第10章 チャイムの鳴る前に
●黒子 side● 〜図書室前〜
「すみません…
大口叩いたのに、役に立てなくて」
『いやいいよ、気にすんな。
それより…手、大丈夫か?』
一クラス分の参考書相手に敗北した黒子は、無事藤堂により救出された。
そして今、冊子の山は再び、藤堂の手の中に収まった。
「ちょっと下敷きになりましたけど
もう大丈夫です」
『そうか、よかった』
そう言って藤堂は、安心したようにホッと息をついていた。
黒子はいまだに不思議だった。
自分が身体ごと持っていかれるほどの重量を、藤堂は大丈夫なのか、と…
なんでそんな軽々と持てるのだ?、と。
『ビックリさせたよな?
もっと強く断るべきだったのに…悪ぃ』
黒子は、こんなことを女子である藤堂に言わせてしまうことが、もの凄く恥ずかしかった。
そして気づいた。
藤堂から溢れ出る、独特の“強者(つわもの)感”に…
“女子バスケ強豪校の元レギュラー”という事実を知ったがためか。
その力強さに、納得せざるおえなかった。
そして、初めて藤堂に出会った時に感じた、あの雰囲気。
懐かしくありつつもどこか恐怖を思わせ、本能をピリつかせる独特な空気感…
それはどこか、“キセキの世代”を思わせるものがあった。
“強者(つわもの)”と呼ばれた者たちと、同じものを…
「あの、藤堂さん」
だいぶ遠回りしてしまったが、黒子はついに本題に入った。
今日ここに、藤堂に会いに来た本来の目的を果たすために。
「迷惑ついでに、すみません…
もう一つ頼みたいことがあるんですが」
『頼み?私にか?』
藤堂は、相変わらず涼しい顔で黒子と向き合った。
そんな藤堂に対して、「迷惑をかけてしまうかも」と黒子は少々後ろめたくなってしまった、が…
「会ってもらいたい人たちがいるんです」