第10章 チャイムの鳴る前に
●天 side● 〜図書室前〜
突如として成り立つ会話。
独り言のつもりで呟いた天の言葉に、答えるような声。
天の視線は引きつけられる。
自然と、自分のすぐ隣へと。
その先には、先程まで張り紙をしていた上級生の影は既にない。
その代わりに、
『うおっ?!!』
今はなぜか、天のクラスメイトが立っていた。
天の見つめた視線の先_____現れたのは、見知った横顔。
今いる場所は図書室の前。
初めて訪れた場所のはずなのに、その横顔だけは、天の記憶の中にも存在する。
青色のキャンバスと、陽が差し込む窓のフレーム。
窓の外を見ようとする度、天の世界にはいつだってその横顔が映り込む。
そして今、天の世界にまたしても割り込んできたその横顔。
天に気付かれたのをきっかけにしたかのように、その人物もまた、天の方へと視線を動かし始める。
一呼吸もしないうちに交わり、互いを見つめる真っすぐな視線。
『黒子くん?!』
天と黒子の間を妨害するものは何もなく、2人は目の前の人物を瞳の中に閉じ込めあ合う。
驚く天を尻目に、黒子は涼しげに「どうも」とだけ言った。