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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第10章 チャイムの鳴る前に


●リコ/伊月 side● 〜1-B教室〜


“藤堂 天”が、選手としてコートに立っていた期間…


それは必然的に、中学バスケにおいて異例と謳われる程の歴史を作った、“キセキの世代”の活躍期間と完全に重なるのだ。


リコは小さく、「未だに覚えているわ…」と呟いた。


「“キセキの世代”の存在だけで
 その年の大会は「これ以上ないっ!」てくらい
 注目を集めていたもの」

「それじゃあ…もし仮に
 同学年に“キセキの世代”がいたら」

「性別は違えど
 期待されるのは避けられなかったでしょうね」


それが、リコが見つけた歴史の背景に隠れたもう一つの真実…


「だから“年端もいかないから”なんて…
 そんな理由じゃ、逆にこじつけっぽくなる」


そして、“妙だ”と感じたことの全てだった。


メディアは確実に、“藤堂 天”の存在を認識していた。
その実力も。


それなのに、取材情報は乏しく、(少なくとも初めは)期待を集めていたはずの小さな星は、注目を集める場所を失い。
果てには、「二度と人の目には映らない」とでも言うかのように、輝かしい表舞台から身を引いた…


それはいったい、なぜなのか?


“キセキの世代”の成長と共に、変化は中学バスケから高校バスケへと…


もしかすると“藤堂 天”もまた、その変化の波にのまれた、一人の被害者だったのかもしれない…と。
リコの話を聞いた伊月は、静かにそう考えたのであった。


そしてリコもまた、同じように考えを巡らせていた。
その中で、ある一つの可能性を見出していた。


「もしかしたら…」

「もしかしたら?」


突拍子もなく、非現実的極まりないが。


それはあまりにも残酷で、希望など少しも感じる事の出来ないものだった。
それでもリコは、その可能性…“最悪な可能性”とでも言うのだろうか?


思考から、かなぐり捨てることが出来ないのだった。


その可能性を伊月に伝えようと、リコが再び口を開いた…


その時だった。


「カントク、伊月先輩。お待たせしました。」

「「 うわぁ〜!! 」」


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