第10章 チャイムの鳴る前に
●リコ/伊月 side● 〜1-B教室〜
「メディアが無関心すぎる」
リコは伊月にそう告げた。
「“藤堂 天”は全中出場の実力を持っていた
いわばバスケ界の期待の星だったのよ?」
そう言った後に、「それは伊月君が誰よりも分かっていたことでしょ」と念押しした。
その瞬間伊月は、全身の毛が逆立つような感覚に襲われた。
「もしかして…“妙”ってそのことか?」
「そうよ」
「確かにそうだ」と、伊月は思った。
少し考えれば分かることなのに、「なぜそのことにすぐ気付かなかったのだろう」と。
実際“藤堂 天”は、少なくとも一回以上は月バスの取材を受けている。
取材陣の目に留まって、その存在が認識されていたことは疑う余地がない。
それなのに、出回っている情報があまりにも少なく、選手像が見えてこない。
それはなぜなのか?
「単に“中学レベルだから”ってことじゃダメなのか?」
納得のいく理由を探そうとした伊月は、真っ先に浮かぶが故に、最も安直な仮説を告げた。
ところが、リコは違った。
「伊月君?また見落としてるわよ?」
「え?」
「これまでと違う、今の、バスケの、
もう一つ、重要で、異例なこと。」
リコは伊月を諭すように、一言ずつ区切って言ってみせた。
そのかいあってか、伊月は直ぐに気が付いた。
「…“キセキの世代”か」
「当たりよ」