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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第10章 チャイムの鳴る前に


●リコ/伊月 side● 〜1-B教室〜


「つまりは不自然なのよ」

「“不自然”…」


伊月は、リコが口にした言葉を反復した。
それと同時に、伊月の頭の中にそれらが徐々に追加されていく。


その言葉たちは、リコが口にした通り“少なすぎる=不自然”という数式を、伊月の頭の中に作り上げた。


ところが、


「でも、それって言うほど重要か?」


伊月はこの(現状、ただの推測の)話を、リコが口にしたまま受け入れることは出来なかった。
それが“藤堂 天”を知るうえで、重要な要素になり得るようには思えなかったからだ。


それに答えるように、再びリコが口を開いた。


「確かに、本当に知りたかったことは
 何も分からなかった。」


これは事実だった。
リコ…そして伊月が、“本当に知りたかったこと”。


それは、“藤堂 天”がどんな選手だったのか。
どんなプレイを強みとし、どんな目標を抱いていたのか。
そして何より…


なぜ、選手でいることを断念するに至ったのか。


全ては知りえないにしても、リコと伊月は答えに辿り着くのに有効なヒントを、過去の記録のどこかに期待していた。


それに関しては、残念な結果に終わってしまった…が、


「でも、だからこそ代わりに分かったのよ。」


リコはそこから、誰も気にしなかったであろう別の事実を掴んでいた。


それは…


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