第6章 偶然目があっただけ
●no side● 〜???〜
火神 大我。
新高校一年生。15歳。
日本人離れした体格を持つこの男は、割と苦労して入ったこの高校に、早々に不信感を抱いていた。
と言うのも、他の大多数の新入生がそうであるのと同様に。
火神もまた、部活動勧誘の餌食となってしまったのだから。
入学と言うものは、人の一生の中でも特に分かりやすく、ランクが上がったことが意識できる瞬間である。
それは本人にとっても、周囲にとっても。
“門出”や“旅立ち”の意味を持つ卒業と、図らずも対になる存在であるが故。
そこには嫌でも、“成長”と言う考えが付いて回る。
「入学と言う名のランクUPに、相応しい成果を見せよ」と。
「誰もが挑戦して当たり前」。
「成長して当たり前」と言う考えが、そこにはある。
しかし。
「ただ年齢がその時を迎えただけ」という場合においても。
人生のランクUPのタイミングは、本人の意思に関係なく平等に訪れる。
そうやって、己の心を置き去りに。
年齢の成すがまま、身体ばかりが成長してしまったのは。
この、火神 大我という男も例外ではないだろう。
火神は今日、明確な進学の目的や、人生の目標も特に持たぬまま。
誠凛高校の敷地内へと、足を踏み入れたのだ。
「それでもいい」と思っていた。
ところが…
本人の意思とは裏腹に、入学(ランクUP)の副産物は容赦なく火神に襲い掛かかったのだ。