第6章 偶然目があっただけ
●no side● 〜???〜
吹奏楽部。
野球部。
バドミントン部。
調理部。
水泳部。
肉体改造部。
それらの部活が、なぜ自分に拘るのか…
その理由を、火神が知ることはないのだろう。
とにかく、火神にとっては想定外の出来事だったことは確かだ。
いつもの火神であれば、気にも留めなかったことだろう。
しかし、そうできなかった理由は…
それほど、上級生からの勧誘の圧力が、凄まじかったと言う他ない。
だから火神は、この望まずとも“成長”が求められる環境に踏み込むうえで。
一つの決断を余儀なくされた。
それは…
「オレはバスケ部に入んだよ!!
邪魔すんな!!」
「自分には、心に決めた一つの道が、既にある」と宣言することであった。
もっとも、本来そのようなことをせずとも、敷地内に入るための校門は広く開けられている。
しかし、今日ばかりは違った。
それが新入生入学に伴う、部活動勧誘であった。
確かに、勧誘をやり過ごすのに、これほど有効な手段はないだろう。
しかし、それは所詮。
危機回避のために火神が唐突についた嘘に過ぎない。
火神には、バスケ部に入部する気など…
ありはしなかったのだ。