第6章 偶然目があっただけ
●?? ??● 〜???〜
「オレはバスケ部に入んだよ!!
邪魔すんな!!」
つい、口から出てしまったんだ。
深く考える余裕は、その時のオレには与えられていなくて。
置かれた状況が、もの凄く不都合だったせいだ。
言い逃れできる、お手軽な言い訳が欲しかった。
とにかく、知らない顔に囲まれると言うその息苦しさから、早く解放されたかった。
呼吸をするのと同じ感覚で。
オレは嘘を口にした。
別に悪くはないだろう。
これくらい、誰でもやることだ。
たったそれだけのことなのに。
久しく口にした、“バスケ”と言う一言に。
オレの心は、反応してしまっていた。
そんなつもりじゃなかった。
でも仮に…
とうの昔に、失ってしまったはずの大切なものを。
もう一度、大切な瞬間を取り戻そうとしても。
いいのだろうか?
もしそれが可能なら。
今から始まる、新しい世界でなら。
誠凛(ここ)でなら…
叶えられるのだとしたら…
だから。
オレの脚は、いつの間にか。
その望みと共に。
愛しすぎるその嘘を、真実へと変える道を進んでいた。
そして紙に、己の名を書いた。
オレの名前は。
火神 大我。