第6章 偶然目があっただけ
●no side● 〜1年B組〜
その時、天が目にしたものは…
赤い瞳。
釣り上がった目。
射抜くような鋭い視線。
敵意すら感じる眼差し。
正直言って、気分の良いものでは…
決してなかった。
しかし…
天はその時、確かにこんな想いを抱いていた。
艶めく甘美な赤が、彼女の中から消えるように去って行ったのと同時に。
代わるように現れた、強さを持つ炎のような赤。
そんな色を…
「美しい色だ」と…
だが、そんな考えが忘却の彼方に飛んでいくほど、天は圧倒されることになったのだ。
その…
言ってしまえば、その男子生徒(人物)の…
・・・
デカさに。
彼女の前に現れた、ということ。
それは、ある一つの事実へと繋がっていて。
つまりは、天のクラスメイトである、ということだ。
身体を起こさなければ、その全貌を見切れないほどに大きな体格のこの人物が。
天と同じ、高校一年生。
にわかには信じがたい。
だからこそ、天の視線と興味を誘ってしまったのだろう。
しかし、視線を送っているのは天だけではなかった。
天が見上げた、その男子生徒も。
また、天を見下ろしていた。
…と言うよりも。
すごく不審なものを見るかのような目で、天を見つめていた。
そのことには、天もすぐに気がついた。
そして、その理由(わけ)を探し始めたのだ。
しかし、すぐに知ることとなる。
というより、気づかないわけにはいかなかったのだ。
たとえ無意識だったとしても。
己の口から、確かに漏れ出した。
“あみゃい”を。
そして、気づいたその瞬間。
自分の顔に集まり出す。
その熱の熱さを。