第6章 偶然目があっただけ
●no side● 〜1年B組〜
先程まで、己の背中を温めていたのと同じ光で、温まった木製の椅子が彼女を受け入れた。
教室を訪れてから、あまりにも時間が経ってしまったがため。
自席に座ったのが初めてであることも忘れ、
『…ん…んん〜〜〜…』
天は座ったまま縦に大きく伸びをした。
そして、その体制のまま真っ白な天井を見つめた。
天はその時やっと、「久しぶりに座った」という事実に気が付いた。
それもこれも、その身に確かな疲れを感じたからだろう。
朝にはそぐわないその疲労感に、不思議と天は驚かなかった。
しかし…
「なぜ疲れているのか」を、考える気にはなれなかった。
…とは言っても、理由なんて疾うに明白だし。
“思い出す”というお手軽な方法を使うにしては、今朝はあまりにも多くのことが起こり過ぎていた…ような気がしたんだ。
それに、
『ん…んん…』
考えもなしに見上げたその、何もないまでに白すぎる白が…
今の天そのものを表しているようで。
彼女の虚無感をさらに煽ったんだ。
以上を総合して。
今の天に出来ることと言ったら、
『…腹減った』
欲望に忠実になることくらいしか、残されていなかった。