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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第6章 偶然目があっただけ


●no side● 〜1年B組〜


藤堂 天。


新高校一年生。15歳。


この春上京したての芋女は今しがた。
友人第一候補の同級生に、実質逃げられた。


相も変わらず、友だちゼロ期間を更新中。


焦っているわけではない。


しかし、その事実に間違いなく落胆している自分がいた。
今回のことは、確実に天のヒットポイントに影響を与えただろう。


今後の彼女の学生生活にまで、影響が及ばなければいいのだが。
まぁ、可能性は五分五分だろう。


なぜなら、男子生徒が彼女の元を立ち去った本当の理由に、天は気が付いていないのだから。


少し考えれば、天にも分かるものだろうに。


年頃の男子との…“距離感”というものを。


しかし天本人は、全ては自身の馬鹿力が招いたのだと信じて疑っていない。
彼女の目の前にあるのは、“逃げ出すほど強く握ってしまった”と言う事実だけだから。


だから、先ほどは自分がどれだけバグった距離感で、男子生徒に接していたのか…
反省するどころか、想像もしていない。


そのことに天本人が気付かない限り、また同じことが起こっても「まぁ、だろうね」くらいしか言えないだろう。


その結果が友人ゼロなのであれば…


彼女の敗因は、己の世間知らずを直すべきだということを、教えてくれる友に恵まれなかったことだろう。


いや…


恵まれていたということに、気づかなかったことだろうか?


とにかく天は、男子生徒を“友人”としてカウントすることに迷いを感じた。


男子生徒は、否応なしに詰められるその天との距離から逃れるために、彼女の前から立ち去るしかなかった。


しかし、前提を無視して「逃げられた」という結果だけで「嫌われた」と判断してしまった天は。
同年代の男子との正しい付き合い方よりも、これからいかに挽回して真の友人になるかで頭をいっぱいにしている。


そして、論点がズレていることに気付くこともないまま。
その“挽回”の労力を想像し、肩を落として自分の席に着いた。


その世間知らずを正してくれるような友人が、彼女の前に運よく現れてくれることを願うばかりだ。


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