第3章 第三章秘密のプロデュース
❁❁❁ 歌仙side ❁❁❁
僕としたことがしくじった。
気に病ませるような事を言うなんて雅じゃない。
「歌仙君?どうしたんだい?」
「主に悪い事をしてしまったかもしれない…僕はただ、近侍や科膝元達以外も主を思っていると解って欲しかっただけなのに」
「そうか」
ようやく主の部屋へ入出許可がでるようになったのに。
「気にする必要はありません」
「宗三君!」
「主とて、解っていますよ」
宗三が現れ僕達にお茶の用意をしてくれた。
「主が他の皆を信用してないわけではありません。そうでなければ態々、着物を手づから仕立てるはずないでしょうに」
「あっ…」
「主は言葉がなくとも態度で示していたはず。出陣の際にもお守りは渡しています。あのお守りは主の祈りが込められ、出陣の際は一睡もせずに写経をして待っているのですよ」
「そうだったのかい?」
確かに、出陣の時は灯がついたままお香の香りがしていた。
「主なりに歩み寄るべく努力しております。ですから、気にする必要はありません…むしろ気にするのは君達ですよ」
「え?」
ドスッ!
歌仙は部屋に飾ってある長刀を手に取り天井を何度も刺した。
「うぉ!」
そして天井から落ちて来たのは。
「よぉ!驚いたか!」
「鶴さん…」
「驚きは要りません。なんでしたら最高の驚きを差し上げましょうか?」
「待て待て…何で薙刀を俺に向けるんだ」
「死ぬほど驚きたいのでしょう?」
「いや…待て」
「問答無用!」
主の部屋に不法侵入しようとした鶴丸はその後相応の罰を受け、池の傍にある松の気に逆さまで吊るされ一晩過ごすこととなった。
まったく、雅じゃないね。