第3章 第三章秘密のプロデュース
不動を待っている間、私達は不審な人に声をかけられた。
「君少しいいかね」
「えっ…何か」
「こういう者だ」
名刺を差し出される。
「八乙女プロダクション?」
「君をスカウトしたい。うちでなから君を・・」
「えっ…困ります」
勝手に捲し立てて話を進めようとするその人があまり好きになれなかった。
まるで品定めをするような目を向けられて。
「ちょっと待ちなさい。さっきから何です?」
「見ず知らずの女性に話しかけ、無礼三昧だね。いい加減にしてくれないかな」
困っている庇う様に宗三と歌仙が助けてくれた。
「は?」
「嘘、ありえないわ!」
二人を見た途端表情が変わった。
「君達、是非内の事務所に…」
ビリビリ!
私から名刺を奪い破る宗三。
「悪徳商売ですか?それとも風俗嬢へのスカウトですか」
「不愉快だ、彼女をそんないかがわしい事務所に入れるなんて」
「「は?」」
二人共、完全に私が売春か風俗嬢にスカウトされていると思っている。
「ちょっと待って、八乙女プロダクションを知らないの?」
「僕達は基本、伝統芸能の志す側でに歌舞伎や茶道ならまだしも、芸能事務所には興味ないのですよ」
「その手の事務所は星の数ぐらいいるよ。前にもなかったかい?」
「ああ、ツクモとかいう高圧的な男がスカウトしてやるとか言ってきましたね?その場で追い返しましたが」
「「ツクモ!」」
大手二大芸能事務所にスカウトを受けてたんだ。
流石無駄にフェロモンを出しているだけあるわ。
「ちょっと断ったの!」
「興味ありません」
「僕も彼等は雅ではないね。傲慢すぎるからね」
さらりと言う二人に信じられないと言うような目を向ける。
「僕は人を風流を愛する故に、風流の欠片も理解できない連中はいけ好かないよ」
「僕も拘束されるのは大嫌いでしてね」
自身でも良く籠鳥だと言っていたからツクモの高圧的な態度は嫌いなんだろうな。
「待って、うちは…」
「大体、その男は見た目からして怪しい。不審者みたいです」
「何?不審者…では彼女のストーカーだと!今すぐ警備を呼ぼう」
「私がストーカーだと!」
目立たないようにと言ったのに何故か目立っている。
いや、解るけど。
こんな場所でストーカーだとか不審者なんて言えばね?