第3章 第三章秘密のプロデュース
❁❁❁ 百side ❁❁❁
初めての舞台は最高だったな。
ユキはあんなすごい人に気に入られているなんて。
「おい百、お前もあんな舞台に出るのか?」
「うーん出れたらいいけど」
「何言ってんだ?」
やっぱり俺じゃ無理かな?ユッキーも俺じゃ無理って思っているかな?
「あの程度で満足するなんて馬鹿だろ」
「え?」
「お前、お嬢に師事されてんのに当たり前じゃねぇか?」
「えっ…そう?」
当然だと言わんばかりの表情をされた。
「お嬢はこれでも京都では霧文字を貰っているんだからな!芸妓でも霧の文字を貰えるのは三人だけなんだぜ!」
「レイさんってスーパーガール?」
「なんだそりゃ?けど、大和舞姫として慕われているからな」
やっぱりすごいんだ。
前々から思ったけど、レイさんって同年代の女の子と違う気がしたんだよね。
気品が漂っていたし。
「お嬢は三歳の頃から日本舞踊と音楽の英才教育を受けてたんだぜ!」
「三歳?」
「だからすげぇんだ」
自分の事のように話すユッキーは本当にすごい。
あれ?
でもユッキーは何でそんな昔の事を知ってるんだろう?
小学生ぐらいなのに…。
もしかしてユッキーも姉弟が#NAE9#さんと知り合いだったりして。
「いいなぁ、俺ももっと知りたい!」
「つっても、一時期実家を出てたからあんまり知らねぇんだよ」
「えっ…そうなの?」
「ああ、俺よりも髭切とかの方が詳しいと思うぞ?」
あの怖いお兄さんか。
なんか視線だけで殺されそうになったんだよな。
「まぁ仕方ねぇよ、お嬢と一番絆が強いのは髭切と薄緑だし…お嬢に危害を加える奴は容赦ねぇよ」
なんだかアメリカ映画のボディーガードみたい。
常にヒロインを守っているって感じだよね。
「そろそろ戻ろうぜ」
「うん」
グッズも買ったからそろそろ戻らないと…
「何ですかしつこいですよ!」
「我々は…」
「警察を呼ばれたいのですか!いい加減になさいこの不審者!」
奥の方で何か騒々しい。
宗三がレイさんを庇いながら睨みつけている人って。
八乙女社長じゃん!
「おい、なんだあのおっさん!」
「ちょっとユッキー!」
気づいたユッキーも怒って走って行った。