第3章 第三章秘密のプロデュース
ホテルにあるショップにて雑貨を購入し、部屋で身なりを整える歌仙はスタイリスト顔負けだった。
「髪の色と目の色を考えるとこれがいいね…後、このじゃらじゃらしたのは不要だ」
「えっ…ちょっと!」
「早く脱いでくれ」
「えええ!やめてぇぇぇ!」
なんか卑猥な想像をしてしまっている私がいる。
「ううっ…ユキにも脱がされたことがなかったのに」
「百ちゃんドンマイ」
「変な言い方は止めてくれ。これでいいだろう」
着付けをばっちりさせられた百ちゃんは着物姿で出てくる。
「あれ?俺カッコ良くない?」
「当然だ、この僕の見立てに間違いはない」
「すっごー!歌仙さんってスタイリスさんだったの?髪の毛を触られている時もすごかったし」
「すたいりすと?」
困惑する歌仙に宗三が軽く説明した。
「要するに髪結師と化粧師を合わせたような職業ですよ。美しく着飾る職業です」
「ああ、そうだ。僕はすたいりすとだ!」
いや、違うでしょう!
大体、ざっくり説明し過ぎだよ宗三。
「すごい、着付けまでこんな簡単にしちゃうなんて」
百ちゃんは興奮しているし。
とりあえず、これで通した方が良いのか?
「早くしねぇと舞台始まるぞ」
「そうですね。急ぎましょうか…行きますよお小夜」
「はい、兄様」
まぁ、本人達は喜んでいるからいいか?
ようやく舞台鑑賞ができると思ったが、トラブルは更に続く事になった。
そう、私はうっかり忘れていた。
今日の舞台は公演初日で、大手芸能プロダクションや、モデル事務所の重役が揃って見に来ていることを。