第3章 第三章秘密のプロデュース
現世に行くために準備をすることになった。
本丸にいるときの服装ではなく私が仕立てていた着物を用意した。
「これ、主が…」
「その、気に入らないなら」
雅を好む歌仙には気に入らなかったのかもしれない。
「待ってくれ!気に入ったよ…見事な着物だ」
「あっ、ありがとうございます」
「主自身が縫われた着物ですから、一点物ですよ」
「ちょっ…」
何でそこで余計な事を言うのか。
一応茶道家元の孫だから着物を縫うぐらいできる。
実家では呉服屋も営んでいるし、手伝いだってしたこともあるんだから。
「そうか僕の為に嬉しいよ」
「兄様、似あいますか?」
「ええ、サイズもピッタリですね」
洋服も増やした方が良いかもしれない。
後で洋服も買いそろえた方が良いかもしれない。
「では行ってきます」
「宗三、頼んだぞ?不動を」
「何で俺なんだよ!」
現世に行くには転移装置を使うことなく特殊な鍵を差し込み本丸と現世を繋ぐ。
通常は転移装置を使っていくけど、私のように霊力が強かったり、現世で顕現された刀剣男士がいれば問題ないそうだ。
「ここが現世かい?随分と違うね」
「僕達のいた時代400年以上過ぎているのですから当然でしょう?」
「そうか…」
あまり目立つ行動はできないので、急いでタクシーを捕まえ待ち合わせのホテルに向かった。
「あーレイさんって…何イケメンが増えている!」
「初めまして僕は細川歌仙だ」
「左文字小夜です…」
「よろしく。一応アイドルしてます。百です」
一応じゃなくてちゃんとアイドルしているのに。
「しかし君の服装は雅じゃないね。芝居を見に行くには相応しくない」
「え!」
「まだ時間があるからいいよね?」
私に了承を得るように尋ねる。
何をする気…
まさか!
「やはり雅ではないのは許せない」
始まった!
我が本丸一の雅刀のファッションタイム!
「ちゃんと道具を持ってきているから問題ないよ」
「何時の間に」
何所にそんな大きなメイクボックスを用意していたの?
っていうか現代のメイク道具を一式用意してたの?