第3章 第三章秘密のプロデュース
❁❁❁ 宗三side❁❁❁
まったく主にも困りました。
体が弱いのに、お節介を焼いて知人の手伝いをするなど。
「小夜?」
「兄さま…」
「どうしたのです?」
廊下から不動達を遠目に見て何を見ているのでしょう。
「あの…別に」
そういいながら床に落としたのはあの男のパンフレットでした。
「小夜、もしかして行きたいのですか?舞台に」
「えっ…あの」
そういえば小夜は現世に行く機会はありませんした。
時折テレビやらで僕達の時代が舞台になったものを見てましたね。
もしかして興味があるのでは?
「ならば行きましょう」
「えっ…でも」
「正直、不動だけでは心配です」
これも本音です。
不動が暴走してしまわないよう見ておかなくては。
それに復讐に囚われ続ける小夜がいろな事に興味を持つのは悪い事ではありません。
「でもあるじさまに迷惑が…その…」
「ああ、なるほど」
正直、主は男性が得意ではありません。
演習でも他の審神者に絡まれてしまってすっかり苦手意識を持っていますが嫌いではないのです。
幼少期に馬鹿が主に絡んだり、父親が原因でもあるのです。
思い出せば不愉快になりますが。
「大丈夫ですよ…主も一時は情緒不安定気味でしたが」
「本当?」
「ええ、主は現世でも身内の縁に恵まれず悲しい事が多すぎました。今も苦しみながら戦っているのです」
愚かなまでに優しい方だった。
優し故に己を殺し過ぎてしまったのは否めません。
「あるじさま、家から追い出されたって聞きました」
「ご老公と御母堂様は良き方でしたが…他の者は悪いのです。特に男に酷い仕打ちを受けましてね」
今だに男性に対しては警戒心が強い。
恐らく源氏組と織田組である僕たち以外にも苦手意識はあるでしょうが、本人も努力しているのです。
「ですから待ってあげてください」
「はい」
主がお小夜を嫌うなんてありえません。
基本、子供好きな方なのですから。
ですが、いいきっかけになるかもしれませんね。
「待ってくれ宗三!」
「はい?」
「芝居を見に行くと言ったね!僕も同行させてくれ」
背後から声をかけて来たのは歌仙でした。