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白銀の五線譜

第2章 第二章迷える子羊






雑誌を見ながら私はご機嫌だった。

「たのしそうですね」

「うん、百ちゃんがダンフェスに優勝したんだよ」

雑誌を見せると見開きに百ちゃんが優勝した写真が載っている。

「あるじさまがしどうしたのです。とうぜんです」

「手厳しいわね」

「ぼくだってこれぐらいおどれます!」

確かに我が本丸でも一番の早さを誇る今剣ならば素晴らしいヒップホップができるだろう。

「岩融!ぼくとゆにっとをくみましょう!」

「ガハハハ!!なんだか解らんが、阿波踊りならできるぞ?盆踊りも任せろ」

「なんか違うわよ」

別に嫌いじゃないけどね。

「ぼくはあるじさまだけのあいどるになりますよ!」

「ありがとう今剣」

「えへへ」


私を喜ばそうとしてくれる今剣の気持ちは痛い程伝わって来る。

本当にありがたいことだわ。


「ぼくのまえのあるじさまは」

「義経公は笛の名手だったわね…恋人は最高位の白拍子だったものね」

「そうです。静様はしらびょうしです」

歴史でも有名だった天女の如く美しい舞を踊りながらも最後は命がけの舞を踊ったとか。

頼朝に捕らえられながらも愛する人への思いを貫いた強い女性だ。


「あるじさまは静様ににています」

「うむ、確かに御前に似ているな」

「恐れ多いわ」


静御前は白拍子の中でお美女だと聞く。
そんな方が似ているなんて。

「いいえ、主は吉乃様に似ております」

「まぁ、確かに」

「宗三、不動!」

生駒吉乃は信長が愛した側室と呼ばれていた。
世間では六天魔王と呼ばれている男を人に士達も言われている。

「あの鬼のような男が唯一おとなしくなるほどですからね」

「信長様は鬼じゃねぇぞ、周りが勝手に言っているだけだ!優しいぞ」

まぁ、現座代の今でこそ解っている事実。
信長公はかなりまともな人格だったと言えるし。

「戦国代では受け入れられないけど、信長公って現在的な考えをお持ちよね…わりと真面だし寛大だったし」

「流石主!解ってんじゃねぇか」

「主、彼が調子に乗りますよ」

そして宗三、どうしてここまで前の主に否定的なの?


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