第2章 第二章迷える子羊
❁❁❁ 千side ❁❁❁
バンが失踪してから僕は全てが嫌になった。
でも、モモが引き戻してくれた。
歌を失えば僕には何も残らないからもう一度やり直そうと思った。
レイにも酷い八つ当たりをしてしまった。
ある意味僕以上に傷ついていたのに、恋人のバンを失っている時に最低な事をしてしまった。
だから謝ろうとした。
でも、遅かった。
マンションに行くと部屋は既にもぬけの殻でテーブルに置かれていたのはデモテープと詩だった。
僕達のデビューに合わせて作ってくれていた物だった。
僕はまた失ってしまった。
大切だったのに。
バンもレイもいなくなってしまった。
大声を上げて声を張り上げて泣き叫んだ。
けれど、どんなに泣いても、戻ることはなかった。
だから僕はモモとある気だろうと思ったんだ。
バンとレイを見つける為に。
でも、デビューしてしばらくしてモモはスランプに陥っていた。
新曲のダンスと歌が上手く行かず、練習に付き合いたくても別の仕事が重なってできなくて。
百は笑っていたけど、結局何もできず。
再びレコーディングの日となった。
何とかしないと…
「おはようございます!」
「モモ…」
「百君、大丈夫なんですか?」
「え?何が?」
前回のレコーディングで散々ダメ出しを食らって落ち込んでいたのにどうしたんだろう?
かなり元気だった。
「モモ、僕がフォローするから」
「大丈夫だよ!」
何が大丈夫なんだよ?
プロデューサーに散々嫌味を言われてへこんでいたのに。
あのプロデューサーは以前から僕にソロを進めていた奴だ。
Re:valeを解散すべきだとも言って来た嫌な男だ。
絶対そんなことさせない。
させるものか!