第2章 第二章迷える子羊
ワンコを拾いました。
でも、案の定。
「今すぐ捨ててきなさい!」
宗三に当然の如く怒られてしまいました。
「何所で拾って来たのです!」
「まぁ落ち着けよ」
まぁ怒られるとは思った。
薬研と不動がなんとか宥めてくれていたから良かったけど。
「外は大雨よ?風邪を引くでしょう?」
「すいません。レイさん」
「いいのよ、すぐにお茶を」
いそいそとお茶の準備をしようとするもさらに宗三に怒られる。
「貴女が用意する必要がありません。長谷部がします」
「俺か!いや、ご命令であればなんなりと」
切り替え早いわね。
どうあっても私がお茶を淹れるのを嫌なのか?
「これでも茶道家元の孫よ?不味いお茶の淹れ方なんてしないわ」
「いや姉さん、宗三の言いたいことはそうじゃないぞとおもうぞ」
「薬研、解ってないから言っても無駄だと思うぞ」
ねぇ酷くない?
最近不動も宗三と一緒になって毒舌になっているよね?
「左文字宗三と申します。よろしくしなくていいですよ」
「俺は零歌様のお世話係の長谷部だ」
「えっと執事さん的な?」
「そんな立派なわけないでしょう?家政夫です」
「誰が家政夫だ宗三!」
でも、あながち間違いではない。
長谷部の仕事は家政夫に近しいと思うけど。
「おーら、せしめた饅頭食うか?美味いぞ」
「不動!貴様ぁ!」
長谷部のお菓子を普通に持ち出す不動。
「俺は不動行光、よろしくな」
「あ、俺は百。よろしく」
「俺達もちゃんと名乗ってなかったな」
ふと思ったけど、病室でも髭切達は名前も名乗らなかった。
「僕は髭切だよ」
「へ?」
何でそこで本名名乗ってんの!!
髭切なんて名乗ったら…
「よろしくお願いします」
あー、百ちゃん天然だったわ。
「俺は弟の薄緑だ」
「ぼくは三条今剣ともうします」
「ガハハ!俺は三条岩融だ!まぁ好きに寛げ!」
とりあえず不審がられなくて良かったけど。