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白銀の五線譜

第2章 第二章迷える子羊





スマホでとある掲示板にアクセスしたらそれは酷い物だった。


主に百ちゃんの悪口が書かれていた。
旧Re:valeのファンも多いけど、面白おかしく書いている人もいるだろう。


「そんな…」

「うわぁ?すごいね」

ひょいと隣でのぞき込む髭切。

「現世の人間は鬼が多いね。嫉妬の塊だよ」

「そうね…人はおにになってしまう」

私は自分の苦しさのあまり気づいていなかった。
あの時、私は自分の事しか考えてなかったんだと思い知らされた。

「主、ダメだよ」

「髭切」

「ストレスを溜めたら、また病が悪化する」

私の機微に敏感な髭切は心配してくれるけど、このままだと百ちゃんは壊れてしまう。

「あれ?あそこにいるの」

「百ちゃん?」

公園でダンスを踊っている後ろ姿が見えた。

「なんかギスギスしているね。優雅さの欠片もない」

「舞じゃないわ…でも」

辛そうに踊っている後ろ姿。
ダンスは楽しく踊らないと意味がない。

「主、何処に行く気?」

「私…」

「今ここで関わって、また同じ目に合う気かい?」


髭切が言わんとしている事は解っている。

でも、ここで見なかった振りをしていいの?
百ちゃんにすべてを押し付けてそのまま私は、許されるの?

「私は最低なの」

「え?」

「あの日私は逃げたわ…詰られて辛いからって。すべて彼に押し付けて」

千の言葉を受け止められなかった。
私自身も悲しくて仕方なかったからなのかもしれない。

だから――。

「これは私の自己満足」

「また傷つくの?」

「そうね。私は弱くて臆病だから傷つくけど。生きている以上傷つかないなんてないんじゃないかしら」


私は強くない。
本当に弱い心を持っているけど。

でも、今からでも強くなりたい。
強くて優しい神様が私を主として慕ってくれるなら、相応しい自分に。


「もう一度なりたい自分でありたい」

「主…」

「だから行くわ」


一歩踏み出すのは勇気がいるし怖い。

けれど、踏み出さないと解らない。



「右足のステップがなってないわ」


だからもう一度歩き出そう。


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