第2章 第二章迷える子羊
何から話せばいいのか。
審神者や刀剣男士の事は話すわけにはいかない。
「あっ…あの、レイさんとその人達は」
「ああ、彼女は僕の大切な人でね」
「ええ!」
任せた私が馬鹿だったわ。
ここで大いなる誤解が生じてしまった。
「ああ、彼女は俺達にとって命より大切な方だ」
普段は常識を弁える膝丸までも。
「おいおい、アンタ達。完全に誤解しているぞ」
「薬研…」
「正確に言うと俺達は姉さんお身内だ。姉さんは京都ではそれなりに有名な名家のお嬢様で俺は姉さんの義理の弟の薬研だ。この二人は姉さんの幼馴染で姉さんの実家の門下生だ」
流石フォローの達人薬研!
巷では研ニキと呼ばれるだけあるわ!!
「えっ…#NAME9#さんってやっぱりお嬢様だったんですか」
「ああ、気品あふれるオーラ―がにじみ出ているだろう」
前言撤回。
お願いだからやめて!
「俺達は孤児なんだ。もっと小さい頃に兄弟が生き別れになってみ寄りにない俺を姉さんが弟として引き取ってくれたんだよ」
「まぁ僕達も似たような者だよ。」
「ああ」
咄嗟にとんでもない設定をポンポン考え付くわね。
でも、半分は本当だけど。
「そんでアンタは?」
「俺は春原百瀬っていいます。今はアイドルとして売り出している最中で…#NAME9#さんが音楽活動をしている頃にお世話になって」
「フーン…で?」
「え?」
髭切の目は氷のように冷たく、獲物を狙うような目だった。
「自己紹介はしたし、本題に入ってくれる?彼女は体が弱いんだ…半年ぐらい前に病気が悪化してね」
「病気…」
「まぁ君には関係ないからいいよ?別に今日の診察が終わったら引っ越す予定だから会うこともないし」
「髭切!」
真っ青になる百ちゃんを無視して話を進める髭切に、膝丸も頷いていた。
「本来なら、静養が必要なんだ。主治医にも挨拶をして身辺整理をするために戻って来たんだろ」
「身辺整理って…何処かに行くんですか」
「別に君に関係ないでしょ?」
さっきから百ちゃんに対してあたりがキツイ。
普段ならこんな態度は取らないのにどうしてなの?