第6章 謎解き急行/それぞれの正体
「それは困ったな…」
そう言う降谷さんはそれ程困った顔はしておらず、優しい目をしてリュウさんを抱き上げる
そして椅子に座り横向きで膝に乗せ、抱き寄せるのだった
「スー…」
普段のリュウさんなら照れながらすぐに離れるが、今回はそのまま降谷さんにペタっとくっついて再び眠りに入った
それも幸せそうな顔をして
これは眩しすぎて尊い…
自分が見ていて良いものなのだろうか
ニヤケそうな顔を両手で覆って隠したいくらいだ…
「昔から大きなヤマが終わると、こうやって何をしても起きなくなるんだ」
リュウさんのまとめた書類を片手で読みながら降谷さんが話始める
「そうだったんですね…自分の前でこの様に寝ることはなかったので、驚きました」
「まぁ、今回はまだきちんと終わっていないがな。一日中気を張っていたんだろう…」
確かに、今日のリュウさんは一日中難しい顔をしていた
警視庁から飛び立つ前からどこか緊張しているような、余裕のなさそうな、いつもと違った雰囲気を出していた
きっと組織が絡んでいた案件でもあったから余計に神経を尖らせていたに違いない
「こうやって寝ていると、普通の子どもだろ?」
「そうですね…」
「早く元に戻る方法を見つけなければならないのに、今回はやられたよ」
そうだ、詳しくは聞かせてもらってないが、今回の対象を保護できればリュウさんが飲んだ薬に一歩近付くと言っていた
「あの、保護対象者の行方は…」
「あぁ…対象は貨物車の爆発によって死亡したことにしといてくれ」
しといてくれ…とは?
「それは対象が生きていると言うことでしょうか?」
「風見、お前なら察してくれると思って伝えたんだが、僕の思い込みかな」
「……いえ」
死亡したことにした方が都合がつくということなのか…
それとも降谷さんも対象の行方が掴めていないのか…
どちらにせよ対象は死亡ということですね
「わかりました」
「撤退後、駅に配置した刑事への指示は?」
「報告書を上げて退勤するようにと。駅に張り込んでくれたおかげで助かったとリュウさんが話してくれました」
報告書全てに目は通せていないが、まとめて降谷さんに手渡す
すると降谷さんのデスクの上でリュウさんのスマホが鳴った
「叶音、コナンくんから電話だよ」
「んー…?」