第6章 謎解き急行/それぞれの正体
リュウさんはうっすら目を開けて降谷さんからスマホを受け取る
眠たそうにディスプレイを見て、目を擦りながら電話に出るのだった
「もしもし…?」
『やっと出た!電話もメールも何回もしたのに、何で返事くれねーんだよ!』
「ごめん…ちょっと立て込んでて…返事する前に…疲れて寝てた…」
『安室さんは!?今一緒か?』
「あむ…?あ、透兄ちゃん…?」
完全に寝起きな声であるが大丈夫だろうかと心配になる
自分なら寝起きの電話でとんちんかんな返事をする自信がある……なんて言ったら「それでも公安か」と言われそうなので絶対言わない
降谷さんもスマホに耳を近付け一緒に会話を聞いていたが、リュウさんからスマホを取り上げ会話を奪った
「やぁコナンくん、僕に何か用事かな?」
『あ、あむろさん…!』
「透兄ちゃんスマホ返してぇー」
「今日は大変だったね。自宅に戻れたかい?」
取り返しに掛かるリュウさんを片腕で止めながら普通に会話をする降谷さん
よくそのわちゃわちゃした状態で話せますね…
「心配してくれてありがとう。ちゃんと戻って来られたから大丈夫だよ………………えぇもちろん、これからも仲良くしてくれると嬉しいな」
会話が聞こえてないリュウさんが唇を尖らせて不貞腐れているのを降谷さんが横目で見て意地悪に笑っている
「それじゃあまた…」
そしてスマホはリュウさんに返ることなく、通話は降谷さんの親指一本で切られてしまった
「れーいぃぃー!」
「叶音おはよう」
「あ、おはよ……じゃなくて!オレ宛の電話なのに!」
「寝起きの叶音じゃ心配で心配で」
「うっ…ごもっともなんですけど…」
よかった、リュウさんも寝起きは自分と同じみたいだ
「で、コナンはなんだって?」
「僕のことをだいぶ警戒しているみたいだったよ。あと、リュウにまた阿笠博士の家で遊ぼうってさ」
聞いている限りだと、江戸川コナンとの関係性でまた進展があったようだ
一体ベルツリー急行で何があったのか
自分が詳細を聞いても良いものなのか
いや、先程の保護対象者についての時もそうだが、この件に関しては自分から入っていかないほうが良さそうだと、なんとなくそう思った
この2人が抱えている案件は謎が多すぎる…
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