第6章 謎解き急行/それぞれの正体
「リュウさん、降谷さんは無事ですか?」
隣に座っている風見も何度も腕時計を見たりしながらソワソワしていた
「ん?あぁ、問題ないよ。殺人事件があったみたいだけど事は順調に進んでるみたい」
零と連絡を取れるのも、車内の状況を聞けるのもオレだけだから、風見がソワソワするのも無理はないと思う
いつ合図が出されるか、いつ想定外の指示が出されるのか、自分の持ち場でひたすら待つのは大変な事だと思う
なんなら名古屋駅組なんてこの作戦の本来の目的すらも伝えられないまま配置をされている
ゼロからの極秘任務のメンバーに選抜されたというだけでもプレッシャーだろうに、本来の目的がわからないまま与えられた任務を遂行しなければならない
心理的に1番厳しい場所だと思う
しかも指揮を取るのがたかが10歳の突然現れた子ども
公安内である程度信頼関係は築いてきたけど、子どものオレが現場で指揮を取るのは初めてのことだし、作戦会議でそれを聞いたみんなの驚きは今でも忘れられない
そんな中風見だけは目を輝かせてたけどな
『毛利先生がそのポーズをとられたという事は…解けたんですね?』
お!
この会話が聞こえたということは零は推理ショーに参加する
動き出すのは犯人がハッキリしたころだろうか
「風見、少しずつ準備に入って」
「了解です」
オフラインのタブレットを取り出して時間と列車の位置を割り出す
推理ショーがどれだけスムーズに進むかにもよるけど、それも計算に入れて零が口を出していくと思われる
それを踏まえて、大体の場所は……ここか!
想定の範囲内だけど、予定より少し若干遅れてるかも…
「パイロットさん、この地点までどのくらいの時間で着ける?」
風の状況等の空の情報はプロに聞いたほうが早い
タブレットの地図を確認してもらい、ここを発つ時刻を頭に入れる
あとは零からの合図を待つだけ
「風見さん、この子はいったい…」
今日のオレの様子をずっと近くで見ていたパイロットさんがついに疑問を口にした
作戦会議にも参加してもらっていたから、ずっと思っていたんだろうな…
風見は困っているのだろうかオレを見る
しかし何かを確信したかの様に頷いたかと思うとパイロットさんにドヤ顔でキメにいくのであった
「公安(ウチ)のエースの右腕で署内の天使ですが、何か?」
か、風見さん、恥ずかしいです…