第6章 謎解き急行/それぞれの正体
それでもやわやわと腰辺りを動く零の手がだんだんといやらしく感じてくる
「零、くすぐったいから、やめて欲し…」
「じゃあきちんと全部教えてくれるな」
掴んでいた零の手首がくるりと返され、反対に自分の手首が掴まれる
「目の周りの血行を良くすると隈が改善されるからって、指で撫でてくれただけだって…」
「目…」
零がそう言った途端に周りがぐるりと回った
気付けば背中はソファに着いていて、オレの足を固定するように零が跨っている
顔の横に張り付けられた両腕はびくともせず、温かみに欠けた目で見下ろされ、危機感からか身体が強ばった
「目を、どんなふうに?」
「えっと…温かいタオル、置いてくれて…」
同じことしようとしているのだろうか、それを聞いた零は自分の近くをキョロキョロと見回すが目当ての物は見つからずチッと舌打ちをした
「その間は何も見えていなかったということだよな」
右手が空いたかと思うと零の左手はオレの両目を覆って視界を奪う
そしてピタリと動きがなくなった
「れー…?」
「……」
首を振るも腕を引っ張るもビクともせず、視界を奪われているせいか、ただただ沈黙の時間が長く感じる
2、3分?
いや、実際にはそんなに経ってないかもしれない
目の前にいて触れているはずなのに、暗闇と沈黙から零が遠く離れている様な感覚だった
「例えば…の話だけど……」
「……?」
ようやく聞こえてきた零の声に時間が戻る
「沖矢昴が少年嗜好の男で、上手く言いくるめてこんなことをしてきたら?」
「…っ!」
掴まれていたもうひとつの手が離されるとすぐさま服の中に零の手が入ってくる
お腹を這うように徐々に手は上り胸の突起に当たってはまた下りて行くことを繰り返された
「れ、やだァ…」
空いた両手で手探りに零の動く手を捕まえるもそんなんじゃ止まってくれる訳もなく、身体を捩らずにはいられなかった
「これで済めばいいが、もっと他にも触られたらどうする?」
ヘソの下を指の腹で上下に擦られ、ゾクっと身体が鳴った
もっと他にもということがどういうことか察すると、身体がジワジワと熱くなる
「だめっ、れぇ…も、やめてっ…」
「じゃあもうひとつ、例えばの話だけど…」
クスッと小さく笑いながら手を止めてくれるもまだ次があるようで、零を掴んでいた両手を払われた
「もし沖矢昴が…」