第6章 謎解き急行/それぞれの正体
幼児化して数ヶ月、元の身体に戻る方法に何一つ辿り着けなかったから、少しの可能性が出ただけでも十分に嬉しかった
でも、まだまだ不確定要素に過ぎない
やはりあの子達から薬の情報をもっと引き出さないと…
「シェリーを始末するのは辞めた方が良さそうだな……と言っても、元々その気はないがな」
「今週末のミステリートレインだっけ」
そういや零の話も途中にしてしまっていた
続きを聞くと、あの動画のシェリーの指にミステリートレインのパスリングがはめてあったことから、おそらく乗るのだろうと予想しているそうだ
ベルモットと共に零もバーボンとして乗車し、終着駅にはジンとウォッカが待機をするらしい
直接シェリーを始末するのはバーボンの役目なので、上手いこと事を運べれば死を偽装して本人を保護することができるかもしれない
組織としてはシェリーを始末して実績を残さねばならないが、公安としては彼女を保護して組織の情報を掴みたい
あわよくばあの薬の解毒薬の入手も…
「それで?オレは何をすればいいの?」
「別ルートで列車を追跡して欲しいんだ」
やっぱり列車には乗れないのか
乗ったところでバーボンと一緒には行動できないし、極力ベルモットとの接触も避けた方が良いだろう
「詳しいことは明日オフィスで人を集めて話すから、その時に。ところで…」
急に声のトーンが下がり、腰に回されていた片手は更に力がこめられた
もう片手で後頭部を抑えられると、耳元に近づいて零が問う
“ コナンくん達以外に誰か大人と会ったのかな? ”
瞬時にピリッとした空気が部屋を駆け巡った
「えっと、会ったことは会ったけど…どうして?」
「誰と会った」
冷やかな目に捕まれて背筋が強ばる
これはごまかしは効かないだろう
嘘をついたところでバレてしまうくらい目を泳がせてしまった
「…沖矢さんに」
「ほぉー…」
「で、でも!この前のシチューの入れ物を返しに行っただけだよ!」
「たったそれだけなのに、どうして服からタバコの臭いがするのか説明してくれるかな?」
タバコの臭い!?
服を引っ張ってすぐに臭いを確認した
自分では気付かなかったけど、微量に臭いが移っている
しかもあの男と同じ臭いがすると零は更に機嫌が悪くなる一方で…
「正直に話した方が罪は軽く済むぞ」
目が笑ってない……!!