第6章 謎解き急行/それぞれの正体
「さて、掴んだ情報聞かせてくれるか?」
「このまま聞くの…?」
ソファに降ろしてくれるのかと思いきや、抱かれたまま零の膝の上に横抱きに降ろされた
こんな間近の零の顔を見ながら真剣な話ができるだろうか…
視線に困って動こうとしても片手でしっかりとホールドされていて、大人と子どもの力の差を感じてしまう
と言ってもオレが大人の姿だとしても零には敵わないけどな
「3日分くっついていたいんだ」
ダメか?と耳元で聞かれ胸が弾んだ
オレだって3日分充電したいし、断るつもりはないけど…
「真面目な話だからね?」
「叶音の話を真剣に聞かなかかったことがあったか?」
そう、だね
どんなふざけた話でも最後までちゃんと聞いてくれるのが零だったね
「じゃあ始めから話すよ」
コナン達と話した内容を順を追って伝える
コナンが薬で幼児化したことを自分も同じだと言ったこと、
2人の本当の名前を出したら否定されなかったこと、
組織壊滅と元の姿に戻る為に協力し合いたいと言ったこと…
「あれは嘘じゃないと思う。嘘じゃないって証拠はないけど…」
「嘘だという証拠もないだろ?」
あの動画でシェリーを見たばかりだから自信は無いが、零はちゃんとオレの報告も可能性として受け入れてくれた
お互いに顎に手を当て一点を見つめながら頭の中の情報を整理していく
「オレと零、どっちかの情報が真実ではない…」
「……いや、どちらの情報も真実だとしたら?」
「どういうこと?」
「叶音の掴んだ情報がハズレだったことは今まで殆どなかった。それと今回の僕の情報も自信がない訳ではない。なら、どちらも真実だとして考えてみればいいんじゃないか」
大人のシェリーも、子どものシェリーも、どちらも真実…
「仮に、一時的に元の姿に戻れる薬みたいな物があるとしたら?」
あの薬を作った本人ならばそれを元に作ることも可能かもしれない
それに幼児化してしまう薬があるんだから、逆に大人化する薬があったところでもう驚きはしないと
「あの動画のシェリーは子ども達を助ける為に大人に戻って、また子どもの姿に戻ったってこと?」
「そういう可能性もゼロではないと思う」
そんなことが本当に現実に有り得ることならば…
「オレも元に戻れる可能性があるってことだよね…」
「あぁ。この可能性を確実にしないとな」