第6章 謎解き急行/それぞれの正体
「ベルモットにも確認を取ったが、シェリーで間違いないそうだ」
だとしたら、さっき会ってきた灰原哀は何者だ?
薬で幼児化したって否定しなかったじゃないか
コナンだって“ 俺も同じ ”って言ったじゃないか
俺は同じでも灰原は違うって言うのか?
いや、
「違う…」
「……?あぁ、阿笠博士の所の灰原って子のことか?シェリー本人が見つかったってことは、あの子は…」
「違う!灰原哀はシェリーだ!」
オレさっき2人と話して来たんだよ
薬のこととか、幼児化のこととか
あの二人が嘘をついているとは思えないし…
もし動画の女性が本当にシェリーで、灰原哀は幼児化したシェリーでないと言うのなら…オレは自分の情報をバラしてきただけだったってこと?
そんなことって…
そんなことって……
「叶音、落ち着け」
「……!」
グッと握りしめた拳に零の左手が重ねられハッとした
「叶音の掴んだ情報も教えてくれるか?それも踏まえて考えていこう」
一瞬でも冷静になれなかった自分が嫌になる
車はもう家の前まで着いていて、話の続きは部屋ですることにし、零は車を停めてくるからとオレを先に降ろし行ってしまった
もしかしたら少し落ち着く時間を作ってくれたのかもしれない
いつもの通路を通って玄関の鍵を差し込みドアを開ける
「アンアーン♪♪」
「ハロ~ただいま…」
ドアを開けた先にシッポを振って待っててくれたハロ
いつもの様に抱きかかえてヨシヨシしてやろうと思ったのに、抱き上げた瞬間
「ヴーッ」
って腕をすり抜けて部屋の奥に行ってしまった
今のメンタルでは結構傷付く
オレはとうとう犬に嫌われたか……
「こんな所に蹲ってどうかしたか?」
背後のドアが開いて零が帰ってきた
車を停めて戻ってくるの早すぎ…
「ハロに嫌われた」
「……?」
はぁーと深い溜め息をつきながら靴を脱いで上がると、どうしたものか先程首を傾げていた零に抱っこされてしまった
「え、何?」
「ハロが来てくれないからその代わりに」
犬ですか
オレは犬に嫌われる犬ですか
「はぁぁぁー…」
「更に深いな」
呆れたように笑う零にしがみつきながらリビングのソファまで運んでもらった