第19章 束の間の休息
レティシア
「良いだろう。受けてやる」
承諾を得たフェリックスは安堵したのか唇から細く息を吐き出す。
ジルヴァの事になると、苦手な事でもやる気になるため全員が、どうしても受けて欲しい事があって事前に用意したものが通じないと、最終手段としてジルヴァを出すのだ。
フェリックス
「詳細は追って連絡する。護衛につく人間は君が決めてくれ。…じゃ、失礼する」
ノア
「あ、オレ送りますっ」
フェリックス
「あれから8年か」
ノア
「そうですね」
ヒガンバナ基地の駐車場に執事が運転する車を待たせていたらしく、ノアとフェリックスは車外で会話をしていた。
フェリックス
「上手くやっているようで安心した」
ノア
「色々ありますけど、楽しいですよ」
フェリックス
「そうか。…ノアと話していたのは新しい守護官か?」
ノア
「そうです。リアム·ランベールくん。すげぇ根性がある子ですよ。今まで守護所に居たみたいです」
話を聞きながらフェリックスは相槌を打つ。
だが、呑気に話している時間もあまりないようで執事から急かす声がかけられる
フェリックス
「バタバタしていてすまないな。…また」
ノア
「はい。お疲れ様です」
フェリックスが後部座席のドアを開けて乗り込むと車はすぐに発進された。
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オリヴィア
「これは凄いわね…」
ソフィア
「です、ね。…私…初めてです、船も…ビュッフェ、も…楽しみです」
この日、特別室メンバー6人は特別休暇を与えられた。
ルビーの指揮官長になったアレクシからもらった食事券を消費する為に、専用客船に乗っていた。
リアム
「こんなでっけぇ船を貸切りとか…すげぇ…」
ノア
「本当にね。こんな経験、二度と無さそう」
リアム
「そっすね。…ん?」
リアムとノアが柵に腕を預けながら海を眺めているとリアムの脚を何かがつついた為、視線を下げるとジルヴァが何かを訴えるように彼の脚を、とんとんしていた
リアム
「どうした?海見たいのか?」
ジルヴァ
「にゃ!」
返事をする様にジルヴァが鳴けば、リアムは優しく抱き上げてジルヴァに自分達と同じ景色を見せる