第19章 束の間の休息
リアム
「珍しいな、ジルヴァがレティシアの傍に居ないなんて」
ジルヴァ
「ウゥ…」
リアム
「どうかしたんすかね?喧嘩とか?」
不思議に思ったリアムは隣に居るノアを見て問い掛ける。
ノアは理由を知っているらしく、笑いながら手を横に振る
ノア
「そんなんじゃないよ」
リアム
「そうなんすか?」
オリヴィア
「お嬢は高所恐怖症な上に水に囲まれるのが苦手なのよ」
風に靡く艶のある黒髪を押さえながらノアの隣に居たオリヴィアがリアムの問に、くすっと笑んで答えてくれる。
それを聞いたリアムは、顔を引き攣らせて固まる
リアム
「まじすか?…じゃ、この状況ってレティシアからしたら地獄じゃないすか」
オリヴィア
「ふふ、大丈夫よ。中に居れば高くも無いし水も見えないからね」
リアム
「あー…そっか。なら、何で来たんすか?」
ノア
「ジルくんが行きたがったってのもあるだろーけど…多分オレ達を乗せたかったんじゃないかな?」
オリヴィア
「確かに、有り得そうね。任務が忙しいからたまには、ってね。…でも、お嬢って凄く食べるからそれもあるんじゃないかしらね」
リアム
「あぁ、そういえば結構食いますね」
ソフィア
「レティシア様、は…どれだけ…食べても、ずっとあのままで…凄いです」
普段は面倒臭がりで魚の骨も取らないが、任務では頼もしいので高所が苦手で水に囲まれるのが苦手…という初めて聞く事実にリアムは、何となくギャップの様なものを感じた。
自分が苦手でも、自分が大切に思っている人達が楽しみにしていたら何も言わずに一緒に行く…という優しさに触れ、リアムは知らない間に笑んでいた。
そして、オリヴィアの言葉に納得する部分もあった。
レティシアはあんな薄い身体のどこにそんなに入るんだ、と聞きたくなるほど良く食べる。
本人は訓練や任務で動いているから、これくらい普通というが…周りからしたら普通では無い。
リアム
「あ、じゃ…ジェットコースターとか絶叫系も苦手なんすか?」
高所が苦手なら絶叫系も…そんな疑問が湧き何となく問い掛けてみると、ソフィアが顔を真っ青にして口を両手で押える