第19章 束の間の休息
ノア
「って事があったんだ」
話を聞き終えたリアムは、苦笑を浮べる。
リアム
「昔の話でも今でもそうすけど、本当に無茶ばっかしてるんすね」
ノア
「はは、本当にね」
リアム
「けど俺…フェリックスさんの見方、変わりました」
ノア
「変わったって?」
リアム
「勝手な印象ってより、レティシアの話を聞いてて裕福な人って意地が悪い人が多いのかと思ってましたけど…フェリックスさんは違ぇんだなって」
ノア
「確かに。…割と情に厚い人だと思うよ」
目を細めてフェリックスを見るノアの瞳は感謝や尊敬の様なものが込められている気がリアムはした。
フェリックス
「レティシア」
レティシア
「あ?何だ」
フェリックス
「護衛任務を受けてくれないか」
レティシア
「は?あんたに来たやつじゃねぇのか」
フェリックス
「嗚呼。俺が世話になっている人だから受けたんだが、任務が立て込んでいて少し余裕が無い。だから、君に頼みたい」
レティシア
「はぁ?嫌だね」
心底嫌そうな顔をして断るレティシアを見てフェリックスは、困った様に唇を結ぶ。
それをリアムと見ていたノアが助け舟を出す
ノア
「姫さん、その人を護衛したらここの設備が良くなるかもしれないよ」
レティシア
「別に私はここの設備に不満は無い。古い部分もないだろ」
リアム
「た、確かに…すげぇ、綺麗だよな」
腕を組みながら吐き出された言葉にリアムが表情を引き攣らせながら零す。
レティシア
「それに私は護衛が苦手だ。常にあっちこっちへ意識を向けなきゃならねぇ。捕まえる方が簡単だ」
ルシアン
「やれやれ…」
ノア
「そ、そうだ!護衛したらジルくんのおやつとかケアグッズにおもちゃがもらえるかもしれないよ!?」
レティシア
「何…?」
面倒臭そうにしていたレティシアの眉が、ぴくっと反応したのを見てノアは、フェリックスを見て自分に合わせるよう目でサインを送る
フェリックス
「あ、嗚呼…そう話をしておこう」
レティシア
「本当だな?」
フェリックスを見上げながらレティシアが首を傾げると、彼はしっかりと頷く