第18章 揺るがない物をくれた君
小学6年になるとノアは時間がある時は必ず決まった場所に行き魔法を練習した。
何度も想像し発動の速度を向上させたり、様々な種類の魔法を練習していると元々、素質が良かったのか本を参考にしているだけなのに驚くほど成長したのだ。
ノア
「はぁ…早くシンメに行って、ちゃんと学びてぇな…」
いつもの場所で普段通り練習をしている最中に呟いたのは14歳になったノアだった。
守護官になる為にちゃんとした学びを求めたその日、彼に転機が訪れた。
「お前…守護官になりたいのか」
ノア
「……っ!?」
背後から声を掛けられればノアは身体が浮くほど驚いて振り向く。
そこにはテレビで何度か見た事がある男が腕を組んで立っていた
ノア
(全く気配、感じなかった…)
未だ状況が理解出来ず硬直したまま何度も瞬きをしていると、目の前の男…16歳のフェリックスは首を傾げる。
フェリックス
「おい、どうした」
ノア
「へ?…あ、いや…すみませんっ」
フェリックス
「それで…守護官になりたいのか?」
ノア
「あ……あぁ、はい…そうです」
何とか返事はしているものの目の前にシュヴァリエ家のフェリックスが居る事と何故、守護官になりたいのかを問われているのか分からず混乱は治まりそうにない。
そんな混乱するノアを気にせず何かを考えていたフェリックスが再び彼へ視線を向ける
フェリックス
「お前、俺の下で守護官をやらないか」
ノア
「……………はい?」
放たれた言葉を咀嚼する事が出来ないノアは間の抜けた声を返す。
フェリックス
「練習している所を暫く見させてもらった。…お前14くらいだろう。シンメに行くまでまだ4年ある。それより今、守護官になった方が良い。その方が魔法も向上するし、それ以外の事も向上する」
ノア
「オ、オレが…今…守護官に?」
フェリックス
「嗚呼」
信じられなかった。
目指していたものが今目の前で自分に手を差し出してくれているような感覚に陥る。
そして何より、初対面にも関わらずここまで言ってくれる事が嬉しくて仕方がなかった。
ずっと1人で頑張っていて正直、自分の能力が向上し続けているのか自信がなかった…だが今、彼の誘いに頷けば自分でも実感出来るくらい成長出来るかもしれない、僅かな時間で考えてノアが出した答えは…