第14章 この言葉を送り返そう
まだ身体に回っていた毒で体力が殆ど残っていない状態の身を起こすレティシアを見れば、全員が止める
リアム
「おい、まだ寝てた方が良いだろ」
ルシアン
「そうだ」
レティシア
「平気だ、これくらい。…それにジルとノアが外に居るんだろ」
オリヴィア
「…彼に無事なの教えるの忘れてたわ」
レティシアの言葉に、あ…と全員がその場にいないノアの事を思い出す。
その様子にレティシアは、ぷっと吹き出す
ルシアン
「ほら」
レティシア
「はは、流石」
どうせ止めても聞かないと分かっているメンバーは、それ以上何も言わなかった。
かわりにルシアンは、ポケットに入れていた手袋を取り出してレティシアに渡す。
先程のは破れてしまったが、もしもの時の為にレティシアは予備を持っていてそれをルシアンが部屋に取りに行ったのだ
リアム
「おら、手貸してやるよ」
レティシア
「有難く借りるとするか」
立ち上がったレティシアは、ふらふらとしていて危なっかしくリアムは思わず肩を支えそんな言葉を発したが、耳は僅かに赤くなっていた。
レティシアの実力は勿論だが、口調もありとても頼もしく感じていた。が、支えた手に伝わる彼女は少しでも力を込めただけで折れてしまいそうなほど華奢でリアムは驚いた。
と同時に、ふわっと爽やかさの中に花の甘さがある繊細な香りが鼻腔を擽り…その全てが交わってリアムの思い出の中にある、レティシアへの淡い気持ちを浮上させる
12年前の話をした時にも浮上してきた、この淡い気持ち。
その時と同じ様にリアムは気付かないフリをしようとしたが、それが少しばかり難しくなっている事に…このあと気が付く事になる
レティシアを支えて外へ出るとノアと元の大きさのままのジルヴァが、肩を落として報せを待っていた