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Smile Bouquet

第14章 この言葉を送り返そう




レティシア
「ジル、ノア」

ノア
「……っ」


彼女の声に反応して同時に顔を向ける。
ノアは不安そうな表情を浮かべていたが、次第に泣きそうな表情にかわりその場から走り出しレティシアとリアムの前で止まる


ノア
「あぁ…姫さん、良かった…」

レティシア
「心配かけたな」

ノア
「本当だよ。…死ぬほど心配した」


今にも泣き出しそうな表情で笑みを浮かべたノアはレティシアを包み込んで、彼女の存在を確かめる様に腕の中に収めた。


ノア
「良かった…本当に良かった。本当…あの時から、レティシアは無茶し過ぎだよ」

レティシア
「はは、悪かったって」


珍しくレティシアの名前を呼ぶノアにリアムが驚いているうちに、身体を僅かに離したノアがレティシアの頬を優しく両手で包み、親指で肌を撫でてから再び強く抱き締める。
そんなノアを慰める様にレティシアは苦笑しつつ彼の背中を、ぽんぽんと撫でる


あの時がいつの事なのか分からないのと同時に、抱き合っている2人を見て嫉妬している自分に気が付いたリアムはやはり認めざる得なかった。
1度刈り取った初恋の花が再び芽吹いてしまったという事に…


レティシア
「そろそろ離せ?」

ノア
「ん、ごめん」


ノアがレティシアを離すと彼女は先程よりもしっかりとした脚取りで座っているジルヴァへ近付く


レティシア
「ジル…ありがとう」


すると、ジルヴァは顔を下げる。
大きくなったジルヴァの鼻筋をレティシアが優しく何度も撫でると、ジルヴァは嬉しそうに小さく鳴く


レティシア
「ジルに怪我がなくて良かった」


そう呟いてからレティシアはルシアンに渡された手袋を右手にはめる。
大きかったジルヴァは瞬く間に小型になり、そんなジルヴァをレティシアは抱き上げ感謝を伝える様に抱き締める


まだまだ毒の効果により顔が青白いレティシアを静かに見詰め、1人は自覚した気持ちに僅かに戸惑い
1人は彼女がちゃんと目が覚めて良かったと安堵する


レティシア
「腹減ったな」


そんな事を知らない当の本人は腕にジルヴァを抱いて、彼等を見て呑気に笑うのだった



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