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Smile Bouquet

第10章 他を守る者へ




ベッドに1歩近づいたレティシアが、リアムの下がる頭を軽く叩く。
その小さな衝撃に驚いたリアムは頭を抑えながら、レティシアを見る


リアム
「レティシア…?」

レティシア
「良いか、覚えておけ」


腕を組んでリアムを見下ろすレティシアの瞳には僅かに怒りが込められていた。
だが、その声はどこまでも静かで澄んでいる


レティシア
「…自分が庇って死んで誰かが助かって良かった…ってのはな、ただてめぇの自己満だ」

リアム
「けど、あの時は無我夢中で…」


庇った事で自己満と言われるなんて思っていなかったリアムは驚いたものの、誰かを助ける事に一生懸命だった彼はそう正直に答える。


レティシア
「だろうな。でも…自分は栄誉ある死を迎えられるかもしれない。だが、誰かが命を落として助かった方はどうなる?…自分だけが助かって…苦しくなるだろ。そりゃ、感謝するし命を大事にしようとも思う筈だ」

リアム
「…そう、だけど…どうしても助けたくて」

レティシア
「リアムの言ってる事も分かるし、誰かの為に身を呈して助けられるのは凄い事だ。…無傷でいろなんて言わない。だが、命は皆等しく1度だ。だから、自分も他人も…2人助けろ。分かったか」


レティシアの言葉にリアムは、何かに気付かされるような…そんな気がしてしまう。
誰かが命を落として助けられた方は苦しい思いもするかもしれない…"命は皆等しく1度"その命を落としてしまっては、助けられるものも助けられなくなってしまう、リアムはそう思うと改めてレティシア達に頭を下げる


ルシアン
「頭上げろ。…レティシアの言ってる事は一理ある。だがまぁ…偉そうに言ってるが、こいつも良く庇っていつも俺達に怒られてんだ」

リアム
「…え?」

ノア
「そうそう。ほーんと、困ったもんだよ姫さんは」

オリヴィア
「確かに」

レティシア
「お、おい…バラすなよ」

ルシアン
「無茶し過ぎるお前を叱る奴が1人でも増えた方が良いだろ」


あれは身体が勝手に…と、小さく言い返すレティシアの姿にリアムは思わず笑ってしまった。



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