第10章 他を守る者へ
そこではノアが避難した住民達のケアをしていた。
2人が来たのを見付け近寄ってくる彼に、レティシアが軽く手をあげる
ノア
「大型魔獣は?」
レティシア
「何とか片付いた」
ノア
「そう、良かった。…あれ、リアムくんは?」
ルシアン
「子供を守って重症だ」
ノア
「え!?」
初めて聞く話にノアはタレているアーモンド目を丸くした。
入口でそんな会話をしていると、女性と女の子が3人へ近付いてくる
母
「あの…」
ルシアン
「はい」
母
「先程…男性の守護官さんに…」
ルシアン
「リアムの事か…。そいつがどうかしましたか?」
母
「柱の下敷きになった息子をお願いしたんです…でも、その方が見えないので…」
不安そうにチラチラと様子を伺う母親を見て、レティシアとルシアンはさっきリアムが託した子だとすぐに分かり…優しい笑みを浮かべる
レティシア
「大丈夫ですよ。息子さんは今ヒガンバナ基地で治療しています」
母
「治療…息子は、助かりますよね…?」
レティシア
「大丈夫です!うちには優秀な衛生師がいるんで」
レティシアは無責任に大丈夫と言っているのではなく、先程オリヴィアから連絡があった為そう自信を持って言えているのだ。
その力強い言葉に母親は安堵し、何度もお礼を述べて避難所の奥へと戻って行こうとするので…共に来るようレティシアが告げると、彼女は頷いた
幸い男の子は助けるのが早かったからか治療は済んでおり、特別室のソファでオレンジジュースを飲んでいた。
それを見た母親と妹は嬉しそうに男の子を抱き締め、オリヴィアに感謝をした。
少し休んでいく様告げてからレティシア達はリアムが眠る衛生室へ入る
リアム
「ぁ…皆…、悪ぃ…俺、途中で気ぃ失っちまって…。けど、あの子が助かって良かった」
ベッドに座りながらキウイやリンゴを食べていたリアムが、レティシア達の姿を見てフォークを置き頭を下げる