第8章 大切で残酷な暖かい過去
その頃…
ソフィア
「たっ…大変です!」
ヒガンバナ基地にソフィアの焦った声が響く。
ノア
「何々?どったの?」
ソフィア
「ゼフィランサスの、第一室から…救援要請信号が出ています…!」
ルシアン
「第一室のカメラを出せ」
ソフィア
「はい…!」
液晶にはレティシアが魔法で男の首を絞めあげ、止めに入ろうとした人達を魔法で縛った瞬間が映し出された。
それを見たヒガンバナ基地の全員が驚いたが、ルシアンだけがすぐに動きゼフィランサスへ向かう
─バンッ
ルシアン
「…っ…レティシア!」
息を切らしながら扉を開けたルシアンは、レティシアを見て慌てて背後から抱き締める。
ルシアン
「止めろ、レティシア!」
手が下ろされた事によって宙に浮いていた男は地面に落ち咳き込み、拘束された人達も開放された。
だが、止められた事が許せなくてレティシアはルシアンの腕の中でもがく
ルシアン
「落ち着け!落ち着くんだっ」
レティシア
「落ち着けるわけないだろ!こいつが!ユリスをっ…ユリスを、殺したんだ…!!」
初めて聞かされる事実にその場に居た者と通信で見ていたヒガンバナ基地の者は目を丸くする
レティシア
「治療出来ねぇ様に魔法まで、かけてやがったんだ!!」
ここに来てレティシアの疑問は晴れた。
レティシア
「私を!…っ…愛して育ててくれた…私の親をこいつが奪ったんだ!!」
ルシアン
「落ち着け…レティシア」
レティシア
「落ち着けるわけ、ないだろ…!」
酷く取り乱し、涙を流しながら怒鳴る彼女の悲痛な叫びを全員が苦しげに聞き…初めて見るその姿に、彼女にとってユリスがどれほど大事な存在だったかが思い知らされる。
と同時に、彼女が嘘を吐いている様にも見えない為…1人が首を押えながらレティシアを見ている男を捕まえ連れて行った
暫くしてルシアンの腕の中で落ち着きを取り戻したレティシアが、ゼフィランサスの人達へ振り向く
レティシア
「……すみませんでした」
部下1
「…いや、謝るな。レティシア」
ユリスの部下だった者達は2人がどれほど仲が良かったのかもユリスがどれ程変わったかも知っている。
だからこそ、ユリスが亡くなった事とレティシアの姿が苦しかった