第8章 大切で残酷な暖かい過去
レティシアとルシアンは牢獄に向かい、ちゃんと待っていたジルヴァにお礼を述べる。
動かなくなった姿を初めて見たルシアンは…悔しそうに下唇を噛む
ルシアン
「ユリス…レティシアは、俺がお前の代わりにしっかり守るからな」
その後メディに頼み、彼の人脈で早急に葬式を開いた。
ロケットペンダントを握り締めるレティシアの隣でルシアンは眉間にシワを刻んで立っていて、その間でジルヴァも寂しそうに尻尾を垂らしていた
それから数日…レティシアは司令官室に呼び出されていた。
ユリスの事を気に入っていたメディの表情も心做しか暗く見えるも、レティシアにはそんな事を気にする余裕などなかった
メディ
「…暴れた者を指揮官長にする訳にはいかなくてね。…面子上こうするしか無かったんだ、すまないね」
レティシア
「気にしないで。私には荷が重い役職だから、もっと軽い役職で頼む」
レティシアが指揮官長になる話は無くなり、ネリネ基地の指揮官だったシモンがルビーの指揮官長になる事が決まった。
力の無い彼女の言葉にメディは眉を下げる
メディ
「ヒガンバナに新しい部屋を作ろうと思ってね。…主に魔獣を取り締まる特別室」
レティシア
「魔獣を取り締まる特別室…」
メディ
「嗚呼。大型魔獣が時々、暴れて市民へ被害が出るだろう。それを止める所だよ。…そこの指揮官を君に任せたい」
レティシア
「分かった」
そうして、特別室は出来た。
報告する為にレティシアはヒガンバナ基地に戻る。
レティシア
「私はこれから特別室の指揮官になる事になった。…今まで私についてきてくれて、ありがとう」
沈んだ表情でお辞儀をされると、ルシアンが1歩前へ出て
ルシアン
「お前がそっちに行くなら勿論、俺も行く」
レティシア
「…え…」
ルシアン
「当たり前だろ。俺が居ると円滑に進むんだろ?」
レティシア
「……っ…」
その言葉にレティシアの瞳は揺れる。
嬉しさに心を震わせていると、また1人…数人が前へ出てくる