第10章 ※シャボンディ諸島

「なっ…‼︎」

ローもキッドも、いきなりの展開に驚きを隠しきれないようで、目を見開いている。

「え…マジかよ。」
「うん。」
「…まぁな。‘‘血”は欲しい。…欲を言えば、お前自身も欲しいが…」
「ぶっ殺すぞ、ユースタス屋…‼︎」

ローはドスのきいた声で言った。

「ローっ‼︎ しっ‼︎」
「…。」

ローは黙りこくった。
真鈴はキッドと向かい合う。

「……本当に帰る?」
「あぁ、帰る。」
「…じゃあ」

真鈴が一歩、キッドの方に歩みよった…がその前に、ローに立ちふさがれた。
ローに軽くぶつかった。

「何するつもりだ…‼︎」
「何って…」

真鈴はローに邪魔されながらも、キッドの方へ歩みを進めようとする。

「…やめろ。お前のしようとしている事は分かってる。」
「…っ」

歩みを止めた。

「…おいおい、止めるなよ、トラファルガー‼︎ せっかく女が覚悟決めたってんのによォ…」
「あ”ぁ? 俺に命令すんじゃねェよ」

不機嫌MAXなロー。

「そんな目で言っても無駄だっつーのー。(リズムよく)トッラファッルガーよー」
「黙れ、この鋼鉄磁石ムキムキ真っ赤チューリップ万年発情期野郎」
「…んだと?」

プチン、と何が切れた音がした。

「もう、うるさい!!!! 話の途中で‼︎」
『‼︎』

真鈴がシビレをきらして叫んだ。

「…‘‘血”、欲しいのなら出ている分だけあげるから‼︎」
「は⁉︎」
「なっ…⁉︎ い、いいのか?」

(こんなアッサリと…)

…よくありません。
第一、あの男が黙っている訳がない。

「駄目に決まっている‼︎ …馬鹿なことはよせ‼︎」
「馬鹿なことじゃないよ‼︎ だって、もし、ここで何もしなかったらずっと、争い続けるでしょ…。だったら今、さっさと大人しく差し出した方がいいじゃないの…」
「だが…そうすると、こいつの能力が上がるんだぞ⁉︎」
「しょうがないじゃない‼︎ …このままじゃ、ロー達に迷惑かけ続け」
「こいつが強くなる方がよっぽど迷惑だ‼︎」
「だって…っ‼︎」

真鈴とローの口論は続く。
…そして、5分ぐらい経った時、キッドがくちを挟んだ。

「…俺が言うのもなんだがよー、トラファルガー、てめェも‘‘血”、貰えばいい話じゃねェのかよ。…俺にとっちゃあ不利益だがよ。」