第10章 ※シャボンディ諸島
…しばらくして。
ローは船の紹介を終え、キッドを食事場に座らせていた。
テーブルの上にはいくつかのお菓子とコーヒーがある。
「…酒はなかったのかよ」
「てめェに出す酒なんぞねェ。」
「…ちっ」
「船長‼︎ 操縦室…来て、ください、何…かシステムが、おかしいよう…で…」
ペンギンが息をきらして来た。
「‼︎ 分かった、今行く。おい、ユースタス屋、絶対この部屋にいろよ。ベポ、見張っとけ。」
「アイー‼︎」
「分かってるっつーの。ほら、さっさと行きやがれ」
しっしっ、と手を払う。
「…ベポ頼んだぞ。あと、たまにあいつの様子見に行ってやってくれ。…ユースタス屋はこの部屋に、鍵閉めて。」
「アイー‼︎」
後半は小声で囁くように言った。
ペンギンとローが部屋から出て行った。
…扉が閉まった途端、キッドは一瞬怪しい笑みをうかべた。
ベポはそれに気づかなかったが。
「おい、そこのシロクマ。」
「ベポですっ‼︎」
「別にいいだろ、どっちでも。…便所どこだ?」
「あー、トイレなら一回外出ないと…」
「教えろ。」
「…アイ、じゃあついてきてください」
「あぁ。」
ベポに連れられ、部屋を出た。
ローの部屋の前を通り過ぎる。
「…結構離れてん」
「着きました、ココです。」
ローの部屋の近くだった。
「風呂とトイレは、キャプテンの部屋の近くにあります。…キャプテン基本、あまり動き回りたくないタイプだから。」
「ヘェー。じゃあ失礼するぜ」
キッドはトイレにはいった。
「…真鈴さんの様子見に行こ。」
ベポはローの部屋にすぐ移動し、中に入った。
「真鈴さんー? ってありゃ、寝てる」
真鈴はベッドの上で眠っていた。
ベポはゆっくり部屋から出て行った。
すぐさまトイレに向かう。
「ユースタス屋? トイレ終わった?」
…返事がない。
ベポは扉をノックして中に入った。
「ユースタっ‼︎⁉︎」
後頭部に衝撃が走った。
そのままベポは気を失い、床に倒れ込んだ。
「……これで暫くは大丈夫だな…」
床に倒れ込んだベポを見つめ、先程よりも増して怪しげな笑みをうかべながら言った。
引っこ抜いた洗面台を元にもどし、トイレから出て行った。
「…これで邪魔者は暫く来ねェな」