第10章 ※シャボンディ諸島
「…………‘‘清者”って、知っているか?」
『‼︎!』
2人そろって軽く顔が引きつった。
…が、ローはすぐにいつもの無表情な顔に戻った。
真鈴は若干、目を見開いているが。
「……知ってねェ訳がねェだろうが。」
「あぁそうだな。…海賊なら知ってて当たり前だ…」
キッドは、ローの目の前の席に座った。
「…俺の分の酒はねェのか?」
「当たり前だ。欲しけりゃ、自分で買え。」
「…っ(イラッ) …おい、酒よこせ」
「は、はい‼︎ 少々お、お待ちを…っ‼︎」
先程の店員と違い、この気弱そうな店員は声を震わせながら、カウンターへ走って行った。
「…で、話ってのは何だ。」
「あぁ。…もう分かるだろ?」
「……‘‘清者”、についてか?」
「分かってんじゃねェかよ。」
気弱店員が酒を持ってきた。
「お、お待たせしました…酒です。…で、ではっ」
ピューっと、漫画でよく見るような走り方をして店員は去っていった。
キッドは酒に手をつけ、一気に酒を煽った。
…残量、半分。
「……それで?」
「今、俺達ァそいつを探し中って訳だ。こいつの存在はここ数年、噂で聞いていたからな…。」
「‼︎」
(…私がこっちに来てない時から、私の存在が知られてたってこと⁉︎ )
真鈴が不安を覚えたその時、キッドが真鈴の心情を狂わせるようなモノを取り出した。
「…ついさっき、海軍がこんな手配書を出しやがった‼︎」
キッドがポケットから、シワシワになった1枚の手配書を出した。
「‼︎!」
そこには、真鈴の顔写真が大きく載っていた。
写真の下に、えげつない金額が示されていた。
『‘‘謎の女・真鈴” 5億ベリー』
『見つけ次第海軍に連絡求む。 必ず生かして捕らえよ。…殺した場合、犯人が見つかり次第死刑に処す。』
最後の文は、少し小さめに記されていた。
「ご…ごごご、5億⁉︎」
「マジかよ…」